我々の永遠の師、中村泰三郎先生は、お世話になった方々に沢山の感謝の言葉を遺して
九十二歳で永眠いたしました。
その声を思い出すとき、会員各位の修練成果を心から喜び「みんな 有難う 有難う」と
目を細め、手を上げてお礼を申していることだろうと思います。
そしてこれからの抜刀道の発展を見守り続けてくれていることだろうと思います。
先生の著書の中に次のような一節があります。
~ 「心や技にいささかの乱れがあっても、真剣斬りの結果にそのまま差が出てしまう。
斬るときは精神統一をして心の動揺をなくし必ず斬るぞ!という決断が大事である。
また斬る前に柄の目釘が安全であるか確認することが一番必要なことである」 ~
先生が常々お伝えしていた言葉を思い起していただき、
皆様がはじめて刀を手にとられた時の「初心」を忘れずに、精進を継続していただけるよう念願します。
日本刀の制作目的は何ものをも截断することにあります。
しかしこの刀は藁や茣蓙を斬る為に造られたのではありません。
仮標を斬るのは切れ味、角度などを自得するためです。
「神剣不殺」「神剣百邪拂」は好く先生の書かれた字です。
また座右の銘は「五常」と「一源三流」だと常に云われておりました。
私たちは師の理想に一歩なりとも近づきたいと、念願し努力したいと思います。
最後に本連盟の発展にご尽力いただいている剣兄諸姉に厚く御礼を申し上げます。
平成18年1月吉日
中村流抜刀道 二代宗家
國際抜刀道連盟 会長
中村朋子